リメンバーミーへの批判

 ピクサーの最新作、リメンバーミーはご覧になりましたか?

 公開からだいぶたっているのでちょっとネタバレしても大丈夫ですよね?

 ダメですか?

 あっ、それと今からリメンバーミーを批判するので好きな映画をけなされたくない方もこの画面は閉じて頂くとありがたいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

始めますね?

 私はしばらく前に見たのですがやはりクソみてぇにボロ泣きさせられました。

 とっても力強い、良い映画ですよね。

 離れて暮らしていますが母も映画好きで、よく面白かった映画をおすすめしあっています。

 ちょーいい映画だったのでさっそく母におすすめの連絡を入れました。

 やはり母も感銘を受けたようで、やっぱり家族を大切にしないといけないね…!という趣旨のコメントをよこして来ました。

 私は少し違和感を感じましたが、そうだねー的な答えを返しました。

 しかし今ではそれはな〜んか違うんじゃないかなーと思っています。

 現代社会に生きている私たちが家族を大切にしよう、というメッセージを受け取るにはリメンバーミーの世界とあまりにかけ離れた私たちの暮らしがあるからです。

 つまりリメンバーミーの家族愛は夢物語で、今を生きている私たちの家族に当てはめられないし、また当てはめるべきでもないと思っているのです。

 そう思っていても泣かされるのがこの映画の凄いところだとも思うのですけどね。

 

 では批判していきますね。

 まず、今日の社会や経済状況と彼らの暮らしを比べてみます。

 主人公の家庭は家族総出で靴を作って生計を立てています。

 現代日本でも、この映画が作られたアメリカでも家族経営の手工業はほぼ生き残って居ないはずです。

 産業革命による工業化の圧倒的な生産力の前に家内制手工業は滅びましたって世界史でやりましたよね。たしか。

 テレビでたまに家族で和菓子作っている人達を見ますが、私の周りには居ません。

 ほとんどの場合ミゲルくらいの年の子供は学校に行き、家に帰っても両親は外に働きに出ていて、おばあちゃんとは離れて暮らして居ます。

 子供が年齢を重ねると遠い学校に進学するか、外に働きに出るかして、いずれ家から出て行き、経済的にも精神的にも、家族との距離は離れてゆく。

 核家族化や単身化ですね。

 これが現代の家族の典型的な姿でしょう。

 それにこれでもマシな方で、今日では離婚が普通のことになり、景気が良くなかった時期も続いて家族内での経済的な対立が起こるなど、もっと荒んだ家族関係の方をお持ちの方も増えているのではないかと思います。

 そこには家族の歴史を知る機会や、家族との共同作業や家計を共にして支え合っているという感覚はありません。

  この状況では社会的な成功よりも家族の方がずっと大事だ、というミゲルの美しい決断も絵空事ですよね。

 私にしても家族との絆が弱いことは常態化しているせいかほぼ悩みませんが、私の経済的な不安に関しては悩みすぎるほど悩んでいます。

 ミゲルならばきっとこんな悩みより大事な事があると気づき、行動するでしょうが、私は気づいた上で、それでも今は、そしてこれからも、家族より金が大事だ、と言わざるを得ない状況にあります。

 あなたはどうでしょうか。

 

 もう一つは私たちの心の問題です。

 家族を思う純粋な気持ちは尊いですが、実際の生活を通じて、純粋に家族のことを愛する気持ちは磨り減って行きませんか?

 出生や恋愛、別離からの再会など感情が高ぶっている時は純粋に相手を想う気持ちがあっても、わかり合おうとすればするほど、同じ時間を過ごせば過ごすほど差異に気付き、相手を想う気持ちに不純物が混じってきます。

 私はそれを悪いことだとは思いません。

 むしろ純粋な気持ちを保持しようとすると気持ちの押し付けで距離の取り方を見誤り、純粋であるために都合の悪い相手の感情を切り捨ててしまうことになるでしょう。

 このような不和を躱すために日常ではあえて純粋な気持ちは忘れているはずです。

 つまりリメンバーミーは日常の物語でなく、非日常の特別な日の気持ちを切り取った物語で、そこでみられる感情は私たちが、普段家族と接している時にはお目にかかれないし、必要もないのです。

 ですから、母の言ったやっぱり家族が大事、という言葉そして、この映画のメッセージもたしかに真実ではあるのでしょうが、日常を生きている私たちには無縁の、飾られた言葉に過ぎないように思います。

 

 以上でした。

 こんな風に思っていてもクソ泣かされる最高に夢のある映画なので、ご覧になっていない方はぜひ一度ご覧になっていただきたいと思います。